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計測システム

ロードセルを利用した力に関する計測はアプリケーションに掲げておりますように非常に幅広い用途に利用されております。当社は、ユーザーニーズに最適な計測システムのご提案できるよう常に新しいセンサーの開発や、応用技術の開発に努めておりますが、まだまだ数多くのご要求に明快な計測方法をご提案できないケースもあります。しかし、ひずみゲージの応用センサーは"ひずみゲージのもつ自由度"から他にないエレメントであり、今後もユニークな応用センサーが開発され計測システムへ展開されると思われます。ここではアプリケーションと重複する面がありますがロードセルの応用からシステムへの展開例を掲げてみます。

重心測定

高精度なロードセルでは、被測定体の負荷挙動を十分把握し最適なメカニズムを介在させることにより重量と重心位置を同時に測定することが可能です。当社では、国産初の大型ロケット/H-2(第一段目/約10 t、第2段目/約2.7 t)の重量・重心測定に協力させていただいたこともあり、自動車・航空・宇宙産業分野のみならず医学的リハビリテーション分野において重心測定のニーズが高いことから、当社の得意分野である6分力ロードセルを用いた重心測定法をご紹介いたします。

<6分力ロードセルの3成分/Fz,Mx,Myを利用した重心測定法>

一般的な重心測定法は、プラットホームに3点(または4点)ロードセルを設置し、X軸方向のモーメントおよびY軸方向のモーメントつり合い条件から重心位置を算出します。これに対し、6分力ロードセルでは全ての力の成分/FX,FY,Fz,Mx,My,Mzが出力されることから、図のようにXY平面上で被測定体によるモーメント/Mx,My、および質量/Fz変化から複雑な計算なしで容易に重心位置を求めることが可能になります。

無負荷状態のモーメントの中心M(0,0)からワークを載荷した際の移動したモーメント中心M'(x0,y0)は、X軸およびY軸モーメントを載荷荷重で除することで求められる。

Lx0=Mx0/Fz、Ly0=My0/Fz

また、高さ方向Zcの計算はX軸(またはY軸)を回転中心としたとき水平時におけるY軸重心位置Ly0と傾斜させた際の重心移動位置L'y0から以下の式で算出される。

L'y0=LyCosθ-ZcSinθ から

Zc=(Ly0/tanθ)-(L'y0/Sinθ)

衝撃荷重測定

衝撃荷重の測定は静的負荷試験に比べ被測定体の物理特性が異なることが知られてます。自動車工学では衝突事故を前提にした各種の衝突試験が実施され搭乗者の安全性を高めるため車体構造の見直しやエヤーバッグ等による搭乗者保護が実施されています。また、スポーツ工学でも同様に用具の安全性と運動性能向上という両面で試験評価がなされており、これらの衝突物あるいは被測定体の挙動はロードセル・加速度変換器・変位変換器等を用いてその運動及びエネルギー変化から衝撃の物理特性を把握されています。さらに、高分子材料・金属材料の衝撃試験では計装化技術により著しく測定結果が異なることから、JIS(B7755,B7766)で計装化装置として標準化されています。以下衝撃荷重測定におけるFAQを掲げてみます。

Q:衝撃荷重をロードセルで計測する場合どの程度の固有振動数が必要であるか?

fr≧5/tm,min つまり、最大衝撃力までの時間の5倍以上を推奨しています。

fr:ロードセルの固有振動数(Hz)
tm,min:最大衝撃力までの時間(s)

Q:衝撃力測定におけるロードセルと加速度センサーによる計測の違い?

一般に動荷重・衝撃力の特性評価をする際は加速度センサーを用いるケースが多く、これはニュートンの第2法則 "F=m*α" を応用しており、家電・自動車部品等の振動による信頼性試験は擬似的に各部位に力を加えることになります(慣性力)。また、自動車工学の衝突試験では人体の加速度に対する安全基準に基づき評価し乗り心地についても同様に加速度をベースにしています。

このように加速度センサーによる計測は非常に幅広いものですが、エネルギー&運動量保存の観点から見た場合は振動の伝達特性から「力」が物体の質量と加速度の積で表すことが出来なくなるケースがあるため「力」で計測評価しなければなりません。

伝達特性:Tr=((1+(2βu)2)/((1-u2)2+(2βu)2))^1/2

Tr:振動の伝達特性
u :固有振動数 (f0) / 外部振動数 (fn)の比
β :減衰定数

私たちが承知している範囲では共振現象がよく知られており固有振動数付近では質量が変わるいわゆる「見かけ質量」で力を算出していることになります。このように「力を関数」としなければならない計測ではロードセルの使用を推奨します。

衝撃荷重測定用ロードセル参考資料(pdfダウンロード)

受圧面/Φ395 mm,20 kN/フラット形ロードセル(球技用)
受圧面/Φ120 mm,20 kNフラット形ロードセル(汎用)

クリップ力測定

あるものを挟む力をクリップ力と呼んでおり、身近にある洗濯ばさみや事務用品の"Wクリップ"を想像してこのクリップ力を測定したいとのご要求があります。最近の液晶や半導体分野では製造・検査ラインで我々が想像できないような目的でこのようなクリップ力測定センサーをご要求されるケースがあります。以下に簡単な事例として紹介します。

クリップ力測定には一般に市販されています標準ロードセルにメカニズムを介することにより測定は可能ですが、クリップ負荷点あるいは面位置が特定されず高精度を要求される際は、メーカの基本弾性体の応用による設計が可能なためイニシアルコスト以外は大きな費用も発生しない特注センサーを要求され方が好ましいと思います。

右図は、ミシンの布押さえ力(定格:100N)測定用ロードセルで下部プレート間をクリップすることによりクリップ力測定への応用も可能になり、負荷に対するたわみ量は0.2 mm以内/100 N時と極めて少ない弾性体を採用しています。また、固定方法やクリップ面サイズの変更等もお客様のご要求に対応可能です。

皮膚の硬さ・指圧感覚測定

人の皮膚の硬さは、被験部位の状態を触診・圧診という手段により主観的に表現されており定量的な計測手法が確立されていない状況のようです。皮膚/皮下組織の範囲を筋や骨を含めた複合的組織とすると確かに難儀な問題と思われます。一応、皮膚の硬さ測定を紹介するにあたりゴムの硬さ試験規格および皮膚の硬さ測定法の事例を調べてみましたが、意外と皮膚の硬さ測定例(陰圧吸引法・インピーダンス法・他)が水分付加前後の評価を主に報告されており、人体の各部位に対する触診対象である肩こりや運動前後、或い、年齢・性別等の身近な計測事例が見あたらないため、当社製作の変位センサー内蔵ロードセルを用いた硬さ測定例をご紹介させていただきます。

人の皮膚の硬さはゴムに相似しており、ゴムの硬さ試験 JIS K 6301(デュロメータ/スプリング式や国際ゴム硬さ(IRHD)/定荷重式)による評価ができそうな気がしましたが、残念ながら複合的組織を対象とした測定は出来ないようです。但し、国際ゴム硬さ(IRHD)/定荷重式は、材料のヤング率と硬さが相関関係にあることをベースし、一般の材料試験法とほぼ同じ荷重と変位を相対的に測定することにより硬さ(ヤング率)を評価しています。勿論、定荷重式では負荷が一定という限られた条件下で測定されますが、これを基準位置に対する押針(圧子)の深さと荷重を連続的に測定することにより硬さの変化を捉えることが可能と考えられます。具体的な測定事例として、鈴鹿医療科学大学/佐々木和郎教授〜医工学からみたツボ/皮膚・筋の硬さ測定システムの開発(日本医工学治療学会/Vol.16,No.4,2004 別刷)に見られるように、拘束しない基準位置(サークル)に対する押し込み荷重と変位を捉え触覚との関連を定量的に評価されています。

このように複合的組織である皮膚の硬さ測定は、医療における触診以外にもアンダーウエアーやスポーツウエアー業界そして老人医療面から非常に関心を持たれている分野であり、今後、工学単位を含めた定量的な値づけが必要かと思われます。

テンション測定

テンション測定は非常に幅広い分野の製品/薄板鋼板・鋼線・ベルト・フイルム・紙・繊維・光ファイバー等の製造工程で利用されています。検出方法は目的によって多少異なりますが、基本的には張力が加わるローラの一つをテンション計測用ローラとしてロードセルを設置し、図のように張力の合成値をロードセルで検出します。また、張力制御を行う場合は電磁パウダクラッチ・ブレーキを利用してコントロールされるのが一般的です。

<3点ローラ方式によるテンション測定>

右図のようにロードセルが受ける垂直荷重の力"F"と張力"T"は次式で表されます。

F=T(Cosθ1+Cosθ2)

上式から、θ12=60°のときF=Tとなり設置角度として都合の良い数字となります。また、上式は左右の張力が同じ場合にのみ適用され、設置条件におけるロール自重"W"は無負荷張力のときゼロキャンセル可能です。

<ロードセルを用いた設置例>

設置例 A:当社ビーム形ロードセル(WBU形,WBE形)は、ロードセル端面に治具取付用タップを用意しておりますのでベアリング付プーリーを装着することにより容易にテンションの測定が可能になります。

設置例 B:薄板鋼板等の比較的大きな張力を測定する際に用いる方法で、左右・前後の力はヒンジ機構が受け持ち垂直成分の力のみをロードセルで検出します。尚、ヒンジ部に描いているロールはヒンジ機構と同軸にて設置することも可能になります。

尚、上記のようにテンション計測は非常にシンプルな構造であるため、既設のローラ部(片軸受けローラ含む)をテンション計測ローラとして置き換えること可能です。詳細はお問い合わせ下さい。

摩擦係数測定

最近は摩擦係数測定やスクラッチ試験に2軸(Fz,Fx)の力を同時に測定したいというユーザが非常に増えています。特に摩擦係数測定は多くの方法があるようですが、2分力ロードセルを利用することで動的な測定が可能という面から要求が増えていると推測します。 WEBカタログにも掲載しています高精度2分力ロードセル(MD2形)を摩擦係数測定用としてより使い易いディスク形にした製品を開発しておりますのでご紹介します。

ディスク形2分力ロードセル仕様(写真:MUF-100N-485)

  1. 外観:上部フランジ/Φ50 mm, 下部フランジ/Φ65 mm, 高さ/34 mm
  2. 定格容量:Fx/100 N, Fz/100 N
  3. 許容過負荷:150 %RO
  4. 定格出力:Fx/約1 mV/V, Fz/約1 mV/V
  5. 入出力抵抗:350 Ω
  6. 推奨印可電圧:10 V(以内)
  7. 直線性:0.1 %RO
  8. ヒステリシス:0.1 %RO
  9. 温度補償範囲:-20〜+60 ℃
  10. 固有振動数:1.4 kHz(Fx,Fzとも)
  11. 相互干渉:2 %以内
  12. 最大離脱距離(Fx):上部フランジ面より3 cm
  13. その他:詳細はお問い合わせ下さい。

緊迫力測定

緊迫力とは、オイルシール・Oリング・パッキン等で密封する際の「しめしろ」による半径方向の力で、円周上の全緊迫力Pと単位長さ当たりの緊迫力P'はP=2π*r*P'で表すことができますが、重要な点は単位長さ当たりの緊迫力P'と接触部位の応力分布のようです。特に運動用シールはオイルシールで代表されるようにリップ接触面の形状はこの緊迫力と油膜を介して接触しているロッドの粗さが摩耗特性に大きく影響するため特殊なリップ形状を採っています。また、熱収縮チューブ等のフイルムにおいても収縮後の適度な緊迫力を保つ必要性から緊迫力測定は欠かせないようです。当社で製作した緊迫力センサーはお客様のご要求に基づき製作しており機密保持の観点から省略させていただきますが、緊迫力測定でお困りの場合はお問い合わせ下さい。

ロードセルを利用したトルク測定

現在、当社では非回転形トルク変換器は微小トルク/1 N•cmから高トルク/20 kN•m、回転形トルク変換器では5 N•mから20KN •mまでの広範囲な定格容量を用意しておりますが、測定対象物の関係上どうしても、これらの標準的なトルク変換器が利用できない場合はロードセルを用いたトルク計測が一般的に実施されています。また、回転体のトルク計測においてはボールネジナットのトルク測定例(本ページの最下段参照)にもあるように回転体の慣性モーメントも無視できないための手法として用いられています。

インパクトレンチによるトルク・回転角計測装置

右の図は、インパクトレンチによるトルク・回転角・軸力を計測したデータです。このデータを見ますとインパクトレンチでは軸力の上昇が打撃トルク値よりむしろ回転角に比例しているのがよく分かります。一般的にボルト軸力を管理する際はトルク・軸力係数からトルク管理を実施するため、それぞれのツールの特性を把握する必要があります。当社ではスパイク的な打撃トルクや角度を高応答に検出できるセンサー及び打撃波高値をエンベロープ処理してその相関を描画できる装置を開発しましたのでご紹介します。

機器構成(概要)

トルク・回転角センサー部(TP-250N-0306)
 ・トルク定格:250 N•m〜ひずみゲージ式〜
 ・回転角度:エンコーダ(5400パルス/回転)〜P/V変換方式〜

計装部(AC-23002)
 ・ストレインアンプ:差動形DCアンプ
 ・レンジ(トルク):100,150,200,250 N•m/FS
 ・P/Vコンバータレンジ(回転角):90,180,270,360 deg/FS
 ・アナログ出力:0〜±5 V 各レンジ
 ・応答周波数:DC〜5 kHz以上(トルク、角度とも共通)
 ・ディスプレイ:UNIPULSE F381 によるデータ保存・出力可

本件に関する詳細はお問い合わせ下さい。

スプレー圧測定

某化粧品メーカより、「スプレー圧・分布を計測したい」また、スプレーノズルメーカからは媒体は違いますが同じような計測目的で微圧センサーを要求され、意外と噴射圧(元圧ではなく拡散圧)のご要求が多いのを知りました。その際利用したセンサーは圧力センサーでなく微小荷重ロードセル(WBJ形DBJ形)に軽量受圧プレートを装着し、力(受圧プレートの面積から平均圧力換算が可能)として計測することを推奨しております。また、半導体製造工程での扇形に拡散する洗浄シャワーの圧力分布測定ではロードビーム形ロードセル(WBU形)に負荷ピンを装着し移動させながら位置と(相対的な)負荷計測をご提案しております。このように余り物理量の名前にとらわれず計測目的に注視したセンサー選びが一つの計測手法となります。

微小荷重測定用ロードセル

従来、小形・微小荷重の検出は、非接着形(ワイヤータイプ)・カンチレバータイプ・半導体ゲージを用いた方式が採られておりましたが汎用で高精度な検出には限界がありました。当社では高精度で負荷離脱特性や耐横荷重の優れたロバーバル構造を用いた微小荷重領域のロードセルを開発するため、新たに加工技術や専用ひずみゲージ開発を行い、従来にない微小荷重・高精度のロードセル(DBJ形WBJ形WBFJ形)を開発しております。詳細は各WEBカタログ仕様をご参照して頂くとして、その大きな特長として、高精度・負荷離脱特性・耐横荷重・ストッパー機構内蔵等をあげることができ、これらの電気的特性やメカニカル特性を生かすことにより幅広い分野にご利用いただけると確信しております。

また、微小荷重測定ではロードセル設置部の加速度による慣性力を無視できないケースもあります。このような条件下ではロードセル内部にカウンターウエイトを内蔵したWBFJ形を選定することで、上下振動や傾斜の影響を極力抑えた計測が可能になります。

右の図はWBJ形ロードセルを用いた精密板バネの検査時、ロードセルに加わる力のベクトルと負荷点移動を示したもので、これらの微小荷重ロードセルは"Fz"成分のみを検出する構造となっています。

ボールねじナットのトルク測定

精密ボールねじナットの品質検査の一つとしてトルク管理(JIS B1192)が実施されており、この検出方法はボールねじとボールナットとの摩擦による回転を停止させる力、すなわちモーメントを測定することにより実施されています。モーメント測定はボールねじ軸中心から半径方向にバーを出しモーメント長さ"L"と力"F"の積としてトルクを求めます。また、力検出器/ロードセルはボールねじ回転によるボールナットと同期して移動しモーメントの反力のみを受ける構造にしなければなりません。

下図は直線ガイドにロードセルを装着し、モーメントバーにより左右に移動させながらモーメントバーに加わる回転モーメントを検出するシンプルな構造のものです。但し、この方式はロードセルに直線ガイド駆動力が同時に加わるため駆動力の影響を受けない構造のロードセルが要求されます。

また、右図はトルクデータの一例を示したもので、JIS B1192では、回転速度:100 min-1および潤滑油粘度:ISO VG 100(JIS K 2001)を規定しています。

 
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